優美な曲線を描くカルティエのベニュワールは、女性の美意識を追求した傑作時計として長年愛されてきました。特に小ぶりなサイズが特徴のミニベニュワールは、その華奢な佇まいと洗練されたデザインで多くの女性を魅了してきましたが、2009年にモデルチェンジが行われ、リューズのないタイプは廃盤となりました。

裏蓋のボタンを専用のピンで押して時間調整を行うという独特の機構を持つ旧モデルは、リューズがない分、なだらかな曲線美が際立つ美しさがありました。この記事では、廃盤となったミニベニュワールの歴史や特徴、現在の入手方法や価格相場、そして復刻版についての最新情報までを詳しく解説します。
記事のポイント!
- カルティエ ミニベニュワールが廃盤となった時期と理由
- 廃盤モデルの特徴と現行モデルとの違い
- 廃盤ミニベニュワールの入手方法と価格相場
- 2019年に復刻されたベニュワールシリーズの最新情報
カルティエのミニベニュワールが廃盤となった理由と歴史
- ミニベニュワールが廃盤となったのは2009年のモデルチェンジ時
- 廃盤理由は実用性を考慮した機能改良が主な原因
- ベニュワールの歴史は1921年から始まりバスタブ型の優美なデザイン
- 旧モデルは裏蓋のボタンで時間調整する独特の仕様
- 廃盤モデルのメンテナンスにはピンの保管が重要
- 現行モデルとの違いはリューズの有無と全体的なデザイン
ミニベニュワールが廃盤となったのは2009年のモデルチェンジ時
カルティエのミニベニュワールがリューズなしのデザインから現行モデルへと移行したのは、2009年のモデルチェンジの時でした。長年愛されてきたクラシカルなデザインを一新し、より現代的で機能的なモデルへと進化させる大きな転換点となりました。
この時期、カルティエは複数のコレクションでモデルチェンジを行っており、ベニュワールもその一環として刷新されました。丸くふくよかだったケースのエッジをより鮮明にし、すっきりとしたフォルムへと変化させています。また、控えめだったローマンインデックスも一回り大きくなり、視認性が向上しました。
モデルチェンジによって、リューズがないタイプのミニベニュワールは公式には製造終了となり、新しいデザインに置き換えられました。このため、リューズなしのミニベニュワールは現在では廃盤モデルとなり、新品を購入することはできなくなっています。
モデルチェンジ後のベニュワールは、ピンクゴールドとホワイトゴールドが中心となり、以前のイエローゴールドモデルは少なくなりました。こうした素材の変更も、より現代的なイメージへの転換を図ったカルティエの戦略の一環だったと考えられます。
2009年以降のモデルチェンジは、ベニュワールの歴史における重要な転換点となり、廃盤となった旧モデルと新モデルを明確に区別する基準となっています。このモデルチェンジにより、リューズなしのミニベニュワールは「クラシックな時代のカルティエ」を象徴するモデルとして、コレクターからの評価も高まっていきました。
廃盤理由は実用性を考慮した機能改良が主な原因
カルティエがミニベニュワールのリューズなしモデルを廃盤にした主な理由は、実用面での改良を図ったことにあります。旧モデルは裏蓋にある小さなボタンを専用のピンで押して時間調整を行う仕様でした。この方法は美しいデザインを保つ利点がある一方で、日常的な使用には不便さを伴うものでした。
時間調整のためには専用のピンが必要で、そのピンを紛失すると時間合わせが困難になるという問題がありました。また、裏蓋を開ける必要があるため、頻繁に時間調整を行うユーザーにとっては手間がかかる仕様だったといえます。資料によれば「これが結構面倒くさい」と表現されており、実用面を考慮して廃盤になったと推測されています。
現代の時計使用者は機能性や使いやすさも重視する傾向があり、カルティエはこうした時代のニーズに応えるべく、従来の美しさを維持しながらも、より実用的なデザインへと進化させたのでしょう。2009年のモデルチェンジ以降、ミニベニュワールもケースサイドにリューズを備えるようになり、通常の腕時計と同様に簡単に時間調整ができるようになりました。
また、防水性能の向上も新モデルへの移行理由の一つだったかもしれません。リューズがないモデルでは、裏蓋を開閉する際に防水性が損なわれるリスクがあります。新モデルはより高い日常生活防水性能を備えており、実用性が向上しています。
このように、ミニベニュワールの廃盤は単なるデザイン変更ではなく、実用性と機能性の向上を目指したカルティエの戦略的決断だったと考えられます。美しさと機能性の両立を追求した結果が、現行のベニュワールシリーズに繋がっているのです。
ベニュワールの歴史は1921年から始まりバスタブ型の優美なデザイン

カルティエのベニュワールの歴史は1921年まで遡ります。ベニュワール(Baignoire)はフランス語で「バスタブ」を意味し、その名の通り時計のケースフォルムが西洋式の浴槽に似ていることから命名されました。一部の文献によると、この名前はロシアのマリア・パヴロヴナ公爵夫人によって付けられたという逸話があります。
1921年に元となる時計が作られた当初は、横長の楕円形でプラチナ製、ベゼルにはダイヤモンドが飾られていたとされています。しかし、現在の形に近いベニュワールが登場したのは1950年代後半になってからです。この時登場したモデルは縦長のオーバル型に、視認性の高いローマンインデックス、優雅なバトン針を備えていました。
特筆すべきは、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴが若き日にベニュワールを愛用していたことです。彼女の着用により、このモデルの知名度と人気は大きく高まりました。そして1973年、このモデルは一般販売が開始され、現在のベニュワールシリーズとして広く認知されるようになりました。
ベニュワールからは独創的な派生モデルも誕生しています。1966年に発表された「クラッシュウォッチ」は、馬車に轢かれてしまったベニュワールからヒントを得たという遊び心溢れるデザイン。また1967年には「マキシ・オーバル」(現在の「ベニュワールアロンジェ」)が登場し、ベニュワールを縦に大きく引き伸ばしたユニークなフォルムで人気を博しました。
ベニュワールは発表から100年以上経った今でもカルティエの代表的なコレクションとして愛され続けています。そのクラシカルでなだらかな曲線美は、時代を超えて多くの女性たちを魅了し続けているのです。優美なオーバル型のデザインは、カルティエのジュエラーとしての感性が遺憾なく発揮された傑作といえるでしょう。
旧モデルは裏蓋のボタンで時間調整する独特の仕様
廃盤となった旧モデルのミニベニュワールには、現代の腕時計にはあまり見られない独特の時間調整機構が採用されていました。ケースサイドにリューズがない代わりに、裏蓋にあるボタンを専用のピンで押して時間調整を行う仕組みです。この独特の方法は「リューズがないタイプ」として知られていました。
時間調整を行うためには、まず専用のピン(あるいは先の細い棒、例えば楊枝のようなもの)を用意する必要がありました。次に、時計の裏蓋にあるボタンをそのピンで押すことで時間を合わせていきます。この方法は少々手間がかかりますが、その分、表側のデザインにリューズという突起物がない美しさを実現していました。
この仕様は、実用性よりも美しさを優先したカルティエのジュエラーとしての美学の表れともいえます。特に女性用の小型時計では、リューズがあることでデザインの流れが中断されてしまうことがあります。リューズを省くことで、ベニュワールの特徴であるなだらかな曲線美を完全な形で表現することができたのです。
しかし、この美しさと引き換えに、日常的な使いやすさは犠牲になっていました。専用のピンを常に持ち歩く必要があり、紛失すると代用品を探さなければならない不便さがありました。また、時間調整のたびに裏蓋を見る必要があるため、着用したままでは調整が難しいという欠点もありました。
このように、旧モデルのミニベニュワールは美学と実用性のバランスにおいて、美しさを優先した設計になっていました。この特徴的な仕様は、廃盤となった今では逆に希少価値を高める要素となり、コレクターからの評価を高めている一因となっています。
廃盤モデルのメンテナンスにはピンの保管が重要
廃盤となったリューズなしタイプのミニベニュワールを所有している方にとって、メンテナンスで最も注意すべき点は時間調整用のピンの保管です。このピンは時計専用に設計された特殊なもので、紛失してしまうと代替品を見つけるのが困難になる場合があります。
時間調整用のピンは、カルティエの正規店で購入した際に付属品として提供されていましたが、中古で購入した場合にはピンが付属していないケースもあります。そのような場合、カルティエの正規店でピンを注文することができるかもしれませんが、廃盤モデル用のパーツであるため、在庫状況によっては入手が難しい可能性もあります。
ピンを紛失してしまった場合の応急措置として、楊枝や細い針などで代用することは可能ですが、時計の内部機構を傷つけるリスクがあるため、できるだけ専用のピンを使用することをおすすめします。また、代用品を使用する際は、無理な力を加えないよう十分に注意が必要です。
定期的なメンテナンスも重要です。廃盤モデルであっても、カルティエの正規店またはカルティエ認定の修理工房でオーバーホールや外装の磨き上げなどのメンテナンスを受けることができます。特に機械式の時計の場合、3〜5年に一度のオーバーホールが推奨されています。
また、パッキン交換やオーバーホール、必要に応じた機械交換など、メンテナンスにはコストがかかることも覚えておく必要があります。これは廃盤モデルの宿命ともいえますが、適切なメンテナンスを行うことで、この美しい時計を長く愛用することができるでしょう。大切な時計だからこそ、専門家による適切なケアを受けることをおすすめします。
現行モデルとの違いはリューズの有無と全体的なデザイン
廃盤となった旧モデルのミニベニュワールと現行モデルの最大の違いは、リューズの有無です。旧モデルは裏蓋のボタンで時間調整を行う仕様だったのに対し、2009年のモデルチェンジ以降のミニベニュワールはケースサイドにリューズが付いています。この変更により、時間調整の利便性は大幅に向上しましたが、なだらかな曲線美という旧モデル独自の魅力は一部犠牲になったといえるでしょう。
デザイン面でも大きな違いがあります。旧モデルはふっくらとした丸みを帯びたケースが特徴でしたが、現行モデルはケースのエッジがよりシャープでスッキリとしたフォルムになっています。また、ローマンインデックスも旧モデルでは控えめでしたが、現行モデルではより大きく鮮明になりました。
ダイヤ巻きモデルにも違いがあります。旧モデルのダイヤモンドは均一なサイズでしたが、現行モデルではダイヤモンドの大きさがグラデーション状にセットされ、より洗練された印象になっています。さらに、りゅうず周りの装飾もクラシカルなデザインからよりシャープなスタイルに変わりました。
素材においても変化がありました。2009年以降のベニュワールはピンクゴールドとホワイトゴールドが主流となり、イエローゴールドモデルは少なくなっています。これは現代のジュエリートレンドを反映した変更だと考えられます。
内部機構もアップデートされ、現行モデルはより高い精度と信頼性を備えています。また、日常生活防水機能が強化されるなど、実用面での進化も見られます。
このように、旧モデルと現行モデルには多くの違いがありますが、どちらもカルティエのクラフトマンシップと美的センスが光る逸品であることに変わりはありません。個人の好みによって、クラシカルな雰囲気の旧モデルを好む方もいれば、モダンで機能的な現行モデルを好む方もいるでしょう。

魅力的なカルティエのミニベニュワール廃盤モデルの特徴と入手方法
リューズがないタイプのミニベニュワールの特徴は華奢な曲線美
廃盤となったリューズなしタイプのミニベニュワールの最大の魅力は、その華奢さとなだらかな曲線美にあります。ケースサイドにリューズがない分、バスタブのような滑らかな曲線が途切れることなく連続し、完璧なフォルムを形成しています。この美しさは現行モデルでは再現できない、廃盤モデル特有の特徴です。
ケースの造形は、まるでジュエリーのカボションカットの宝石を思わせるような優美なオーバル型。まろやかな曲線を描き、腕に沿う形で優雅に湾曲するそのフォルムは、まさにふくよかで包容力のある女性らしさを凝縮したエレガントな表現といえるでしょう。
文字盤には控えめに配置されたローマンインデックスが施され、細いバトン針が時を刻みます。文字盤のシンプルさがケースの美しさを引き立て、全体として洗練された印象を与えています。また、サファイアクリスタル製のガラスがドーム型になっており、見る角度によって光の反射が変化する美しさも楽しめます。
特筆すべきは、その完全な一体感です。リューズがないことでケースの連続性が保たれ、まるで一つの宝石のような印象を与えます。これはカルティエがジュエラーとして培ってきた美意識の表れであり、機能性よりも美しさを優先した設計哲学の証明ともいえるでしょう。
時計としての機能よりも、腕に着けるジュエリーとしての存在感を重視したこのデザインは、現代の実用主義的な時計デザインとは一線を画しています。まさに「時を忘れさせる美しさ」を持ち、所有する喜びを与えてくれるタイムピースなのです。リューズなしのミニベニュワールは、カルティエの美学が凝縮された芸術品といっても過言ではないでしょう。
ケースサイズは縦25.3mm×幅20.79mmの小ぶりで上品なデザイン
廃盤となったミニベニュワールのケースサイズは、縦25.3mm×幅20.79mmという小ぶりなサイズが特徴です。この控えめなサイズ感が、女性の手首に自然に馴染み、上品で繊細な印象を与えます。「ミニ」という名の通り、ベニュワールシリーズの中で最も小さなモデルですが、その存在感は決して小さくありません。
小さなサイズながらも、18Kゴールドの重量感としっかりとした厚みにより、予想以上の存在感があります。華奢なデザインでありながら、高級時計としての風格を備えているのは、素材の質の高さと絶妙なプロポーションによるものでしょう。
このサイズ感は特に日本人女性の細い手首に適しており、人気の高さの理由の一つとなっています。大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ感は、日常使いからフォーマルなシーンまで幅広く活用できる汎用性の高さにも繋がっています。
また、このコンパクトなサイズは着物との相性も良く、和装時のアクセサリーとしても違和感なく馴染みます。華奢なデザインが日本の伝統的な美意識とも調和し、コーディネートの幅を広げてくれる点も魅力です。
ミニベニュワールのサイズ感は、「小さく控えめながらも確かな存在感がある」という、一見矛盾する要素を見事に両立させています。これはカルティエのデザイナーの卓越したセンスによるものであり、時代を超えて愛される理由の一つでしょう。現代のトレンドが大きめのレディースウォッチへと移行する中、このクラシカルな小ぶりなサイズ感は、逆に希少価値を高める要素となっているのです。
18Kゴールド素材のみを使用する高級ラインとしての位置づけ
カルティエのベニュワールシリーズは、18Kゴールド素材のみを使用する高級ラインとして位置づけられています。ベニュワールにはステンレスモデルが一切ラインアップされておらず、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドといった18Kゴールド素材だけが用いられています。この素材選択は、カルティエのコレクションの中でもベニュワールが特別な存在であることを示しています。
過去にはバロンブルーやタンクアメリカンなど、カルティエの他のモデルも当初はゴールド素材のみでしたが、後に手の届きやすい価格帯のオールステンレスモデルも発表され、人気の裾野を広げました。しかし、ベニュワールは今でもゴールド素材のみを貫き続けており、カルティエのレディースウォッチの中でも特にステータス性の高いコレクションとして認識されています。
さらに、リューズにはプラスチック製のスピネルではなく、本物のブルーサファイアやダイヤモンドが装飾されており、ハイジュエラーの時計らしい華やかさが施されています。これもベニュワールが単なる時計ではなく、ジュエリーとしての価値も兼ね備えた特別なコレクションであることを示しています。
18Kゴールドを使用することで、ベニュワールは経年変化による風合いの変化も楽しめます。使い込むほどに味わいが増し、所有者だけの特別な一品へと変化していくのです。また、純金の含有率が75%以上という18Kゴールドの輝きは、他の金属では代替できない温かみと高級感を醸し出します。
このように、ベニュワールは「本物」にこだわったカルティエの哲学が色濃く反映されたコレクションといえるでしょう。ステンレスモデルが展開されない点は、ある意味でベニュワールの価値と伝統を守るカルティエの姿勢の表れともいえるのではないでしょうか。
廃盤モデルは中古市場で探すのが主な入手方法
廃盤となったリューズなしタイプのミニベニュワールを入手するには、中古市場で探すのが現実的な方法です。2009年に製造が終了してから10年以上が経過し、新品の在庫はほぼ枯渇していると考えられるため、主に二次流通市場での購入が主流となっています。
信頼できる中古時計店やオークションサイト、フリマアプリなどで取り扱われていることがありますが、希少性の高いモデルのため、常に市場に出回っているわけではありません。気に入ったモデルを見つけたら、迷わず購入を検討することをおすすめします。
中古で購入する際の注意点としては、まず真贋の確認が重要です。カルティエの人気モデルは偽造品も多く存在するため、信頼性の高い専門店での購入をおすすめします。また、可能であれば購入前に実物を確認し、文字盤やケースの状態、裏蓋の時間調整ボタンの動作などをチェックすることが望ましいでしょう。
また、廃盤モデルを中古で購入する場合、保証書や付属品の有無も価格に影響します。特に時間調整用のピンが付属しているかどうかは、使用上の便利さに直結する重要なポイントです。ピンがない場合は、カルティエの正規店で購入できる可能性もありますが、廃盤モデル用のパーツのため、入手できるかは不確実です。
価格面では、状態の良い個体ほど高値で取引される傾向にありますが、多少の使用感があっても、適切なメンテナンスを受けることで長く使い続けることができます。購入後のメンテナンス費用も考慮に入れた予算計画を立てることをおすすめします。
廃盤モデルの入手は簡単ではありませんが、その分だけ手に入れた際の喜びは大きいでしょう。独自の美学と歴史を持つミニベニュワールは、単なる時計以上の価値を持つコレクターズアイテムとして、長く愛用することができるはずです。
廃盤モデルの価格相場は稀少性により高騰している傾向
廃盤となったリューズなしタイプのミニベニュワールは、その希少性から中古市場でも価格が高騰する傾向にあります。現在の中古市場における価格相場は、モデルや状態によって大きく異なりますが、おおよそ100万円から300万円程度が一般的な取引価格帯となっています。特に状態の良い個体や、保証書や専用ピンなどの付属品が揃っている場合は、さらに高値で取引されることもあります。
特筆すべきは、多くの場合、廃盤モデルの中古価格が新品時の定価を上回っているという事実です。これは、リューズなしの独特なデザインを持つミニベニュワールへの需要が依然として高いことを示しています。特にカルティエのヴィンテージモデルに対するコレクターの関心が高まっている現在、良質な個体はさらに値上がりする可能性も考えられます。
価格に影響を与える要素としては、まず素材が挙げられます。イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドなど、素材によって価格が異なります。また、ダイヤモンドベゼルの有無や文字盤のデザインなども価格差の要因となります。
さらに、経年変化による状態も重要な価格決定要因です。特に機械的な問題がなく、ケースやブレスレットの状態が良好な個体は高値で取引される傾向にあります。反対に、大きな傷や変色がある場合、または専用ピンの紛失などがある場合は相応の価格調整が行われます。
中古市場での価格はあくまでも参考値であり、実際の取引価格は需給状況や個体の状態によって常に変動します。購入を検討する際は、複数の販売店やオークションサイトなどで相場観を養うことをおすすめします。また、将来的な資産価値を期待するなら、できるだけ状態の良い個体や付属品が揃った物を選ぶことが賢明でしょう。
2019年に復刻されたベニュワールシリーズの特徴と現在の取り扱い状況

2019年、時計の祭典SIHHにてカルティエはベニュワールの新作を発表しました。この新モデルは、2008年以前のベニュワールに「原点回帰」したデザインを特徴としており、ふっくらとした丸みを帯びたラインが復活しました。カルティエ公式サイトでは「ベニュワール 1920 ウォッチ」として販売が開始されています。
この復刻版は、完全に旧モデルと同じわけではありません。リューズなしのデザインは復活せず、引き続きケースサイドにリューズがある現代的な設計を維持しています。しかし、ケースのフォルムや全体的な雰囲気は旧モデルに近づけられており、往年のベニュワールファンにとっては懐かしさを感じさせるデザインとなっています。
また、廃盤となっていたベニュワールアロンジェ(縦に引き伸ばしたデザイン)も復刻され、ラインナップが拡充されました。ベニュワールアロンジェは、ケースサイズがおよそ縦47mm×横幅21.5mmという特徴的なプロポーションを持つモデルで、手巻きムーブメントを採用しています。
2025年3月現在、日本国内の公式サイトでは「ベニュワール 1920」シリーズが展開されており、一部のモデルは購入可能な状態です。ただし、ベニュワールアロンジェについては、日本国内での販売は受け付けていないようですが、アメリカなど海外の一部地域では在庫がある状況です。
価格帯は、現行の「ベニュワール 1920」シリーズが120万円から300万円程度、ダイヤモンドがあしらわれたモデルはさらに高額になっています。ホワイトゴールドとダイヤモンドを組み合わせた豪華なモデルになると、1,600万円以上という高額な設定になっているものもあります。
復刻されたモデルは、現代の技術と品質管理の下で製造されているため、信頼性や耐久性においては旧モデルより優れている可能性があります。しかし、リューズなしの独特なデザインを求める方にとっては、やはり廃盤となった旧モデルの魅力には及ばない部分もあるかもしれません。どちらを選ぶかは、デザイン性を重視するか、実用性を重視するかによって変わってくるでしょう。

まとめ:カルティエミニベニュワール廃盤モデルは希少価値の高い逸品
最後に記事のポイントをまとめます。
- カルティエのミニベニュワールは2009年のモデルチェンジでリューズなしタイプが廃盤となった
- 廃盤の主な理由は、裏蓋のボタンを専用ピンで押す時間調整方式の実用性に難があったため
- ベニュワールの歴史は1921年に始まり、フランス語で「バスタブ」を意味する名前の由来どおり優美な曲線美が特徴
- 廃盤モデルの最大の魅力は、リューズがない分際立つ完璧な曲線美と一体感のあるデザイン
- ケースサイズは縦25.3mm×幅20.79mmと小ぶりながら、18Kゴールドの重量感で存在感がある
- ベニュワールは18Kゴールド素材のみを使用する高級ラインとして位置づけられている
- 廃盤モデルを入手するには中古市場が主な選択肢となり、状態や付属品の有無が価格に影響する
- 中古相場は希少性により高騰傾向にあり、100万円から300万円程度が一般的
- 2019年に「ベニュワール 1920」として原点回帰したデザインが復刻されている
- 復刻版はリューズありのデザインを維持しつつ、ケースのフォルムは旧モデルに寄せたもの
- メンテナンスには時間調整用ピンの保管が重要で、紛失すると代替品の入手が困難
- 現行モデルと比較すると、旧モデルはデザイン美を優先し、現行モデルは実用性を向上させている
- 廃盤モデルはカルティエの美学が凝縮された芸術品としてコレクターからの評価が高い
- 大女優カトリーヌ・ドヌーヴなど著名人に愛用され、その知名度と人気を高めてきた歴史がある
- 日本人女性の細い手首に適したサイズ感で、着物との相性も良い点が国内での人気の理由の一つ