18世紀フランス王妃マリー・アントワネットは、豪華絢爛な宝飾品やドレスで知られていますが、実は香水への情熱も並外れたものでした。彼女が愛用していた香水は、現代の香水文化の礎を築いたとも言われており、その香りは今もなお多くの人々を魅了し続けています。当時の宮廷では悪臭を隠すために香水を使うのが一般的でしたが、マリー・アントワネットは純粋に香りを楽しむという革命的な使い方をしていました。
特に注目すべきは、彼女が愛用していたウビガン（Houbigant）の香水が現代に復刻され、日本でも購入できるようになっていることです。また、香水にまつわる悲劇的なエピソードや、王妃が栽培していた香料植物、専属調香師との関係など、知られざる香りの物語が数多く残されています。
| この記事のポイント |
|---|
| ✅ マリー・アントワネットが愛用していた具体的な香水ブランドと香りの特徴 |
| ✅ 現代に復刻された王妃の香水の購入方法と価格情報 |
| ✅ 18世紀宮廷の香水文化と革命的な香りの使い方 |
| ✅ 香水が原因で身分が発覚した悲劇的なエピソードの真相 |
マリー・アントワネットが愛した香水の歴史と特徴
- マリー・アントワネットが使っていた香水の正体は世界最古のフレグランスブランド
- 18世紀宮廷の香水事情と王妃が起こした香りの革命
- バラとすみれを中心とした王妃が好んだフローラル系の香りの特徴
- 専属調香師ファージョンとウビガンが生み出した王室御用達の香り
- プチ・トリアノンで栽培された香料植物と王妃の自然愛
- 現代科学でも再現不可能な「Rose of May」の幻の香り
マリー・アントワネットが使っていた香水の正体は世界最古のフレグランスブランド
マリー・アントワネットが愛用していた香水の正体は、**1775年創業の世界最古のフレグランスブランド「Houbigant（ウビガン）」**の作品でした。このブランドは、創設者のジャン・フランソワ・ウビガンがパリのフォーブール＝サントノレ通り19番地に「花々の籠」という手書きの看板を掲げて香水店をオープンさせたのが始まりです。
興味深いことに、マリー・アントワネットがギロチンにかけられるその時まで、肌身離さずウビガンの3本の小瓶を胴衣に忍ばせていたという有名なエピソードが残っています。これは香水への愛がいかに深かったかを物語る感動的な逸話として、現在でも語り継がれています。
🌹 マリー・アントワネット愛用香水ブランドの基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ブランド名 | Houbigant（ウビガン） |
| 創業年 | 1775年 |
| 創設者 | ジャン・フランソワ・ウビガン |
| 店舗所在地 | パリのフォーブール＝サントノレ通り19番地 |
| 特徴 | 世界最古のフレグランスブランドの一つ |
また、王妃にはもう一人お気に入りの調香師がいました。それがジャン＝ルイ・ファージョンで、彼は王室のお抱えという立場にありながら、フランス革命を乗り越え、後にナポレオンの調香師にもなったという興味深い経歴を持っています。
マリー・アントワネットは侍女をウビガンの店に行かせ、彼の最新作の香水を手に入れるほど香水に夢中でした。この情熱的な香水愛好が、やがて彼女を悲劇へと導くことになるとは、当時の誰もが想像できなかったでしょう。
18世紀宮廷の香水事情と王妃が起こした香りの革命
18世紀のフランス宮廷では、現代とは全く異なる香水の使われ方をしていました。当時の社会では**「水」は病気の源と考えられており、バスタブに湯を張る入浴の習慣がなく**、高貴な女性たちは酢を含ませた布で体を拭くのが一般的でした。そのため、悪臭や体臭をかき消すために香水を使用するというのが常識だったのです。
ヴェルサイユ宮殿内は、ムスクやアンバーグリスといった動物性香料を用いた強い香りに包まれていました。これは現代の私たちには想像もつかないほど濃厚で重い香りの環境だったと推測されます。
しかし、衛生先進国のオーストリア出身のマリー・アントワネットは、この宮廷文化に革命を起こしました。彼女はバスタイムが大好きで、花びらやハーブのポプリ入りの湯に浸かって読書をしたり、入浴後に軽い食事をとって休息したりしていました。
💡 18世紀宮廷の香水使用目的の変化
| 従来の使用目的 | マリー・アントワネットの使用目的 |
|---|---|
| 悪臭を隠すため | 純粋に香りを楽しむため |
| 動物性香料中心の重い香り | 植物由来のナチュラルな香り |
| 単一で濃厚な香り | 複数の花々のブーケフローラル |
| 実用的な必需品 | 美と癒しのためのアイテム |
清潔な体にたっぷり香水をしみ込ませたドレスや手袋、メイク、ウィッグなど身支度を整え、貴族たちに謁見するという彼女のスタイルは、まさに現代の香水の楽しみ方そのものでした。
幼い皇太子妃の入浴という振る舞いに最初は眉をしかめた宮廷社会も、彼女の香りの革命に否応なく引き込まれていきます。特に人々が魅了されたのが、王妃が好んだ植物由来の自然な香りでした。バラ、ジャスミン、すみれ、アイリス、チュベローズ、パチュリ、ローズマリーなど、爽やかで甘く、豊かでエアリーな香りは、それまでの宮廷に蔓延していた重い香りを一掃したのです。
バラとすみれを中心とした王妃が好んだフローラル系の香りの特徴
マリー・アントワネットが特に愛していたのは、バラとすみれを中心としたフローラル系の香りでした。当時ヴェルサイユ宮殿で流行していた銀髪のかつらと自毛に、彼女はニオイイリス、カーネーション、バイオレットの香りがするお気に入りのパウダーをたっぷりと振りかけていました。
王妃が好んだ香調は「ブーケ・フローラル」と呼ばれるもので、これは無数の花々が一斉に咲き乱れる野原のような香りでした。当時の技術では、冷浸法と分別蒸留法という革新的な方法により、ジャスミンなど高温では壊れてしまう繊細な花の香りを油脂に含ませて抽出することが可能になっていました。
🌺 マリー・アントワネットが愛した主な香料
| 香料名 | 特徴 | 使用部位 |
|---|---|---|
| バラ | 芳醇で女性らしい甘い香り | トップ〜ミドルノート |
| すみれ（バイオレット） | 清楚で上品な甘さ | ミドルノート |
| ジャスミン | 濃厚で官能的な香り | ミドル〜ラストノート |
| アイリス | パウダリーで高貴な香り | ミドル〜ラストノート |
| チュベローズ | エキゾチックで甘美な香り | ミドルノート |
| ラベンダー | 清涼感のあるハーバル香り | トップノート |
現代の香水研究によると、マリー・アントワネットが好んだ**「ミル・フルール（千の花々）」**という香調は、あらゆる花を集めたブーケの香りでした。しかし、今とは違い、ひとつのお気に入り香水を常に使用していたわけではありません。
シチュエーションに応じてあらゆるものに香りを付けるのが当時のベーシックなスタイルでした。ジャスミンを整髪用のポマードに、ハンドクリームにアーモンドミルクとパウダーを入れ、手袋にカーネーション、朝食のショコラにはときにラベンダー、ときにヴァニラの香りを付けるといった具合に使い分けていたのです。
専属調香師ファージョンとウビガンが生み出した王室御用達の香り
マリー・アントワネットには、二人の優秀な調香師がついていました。一人目はジャン＝ルイ・ファージョンで、彼は王妃専属の調香師として「花の破壊」や「ヴィーナルの油」などのオリジナル香水を作成していました。
特に注目すべきは、プチ・トリアノン香水です。これは別荘用に要望された香水で、ギリシャ神話で奇跡の粉とも言われるイリスの香りが核となっており、王妃にふさわしいとされ、王妃の手袋用香水としても使用されていました。
二人目の調香師がジャン・フランソワ・ウビガンです。彼の香水店は現在でも世界的なフレグランスメゾンとして存続しており、まさに香水界のレジェンドと言える存在です。
👑 マリー・アントワネットの専属調香師比較
| 調香師名 | 特徴 | 代表作品 | その後の経歴 |
|---|---|---|---|
| ジャン＝ルイ・ファージョン | 王室専属調香師 | プチ・トリアノン香水、花の破壊 | フランス革命後、ナポレオンの調香師に |
| ジャン・フランソワ・ウビガン | 香水店経営者 | ウビガンブランドの各種香水 | ブランドは現代まで存続 |
興味深いことに、ファージョンは王室のお抱えという立場にありながら、フランス革命を乗り越え、後にナポレオンの調香師となったという経歴を持っています。これは当時の激動の時代を生き抜いた調香師の巧妙さを物語っているエピソードです。
一方、ウビガンの香水店は混乱と転換の時代を生き抜き、21世紀に入った現在ではモナコ公国のペリスグループ社のバックアップのもとでウビガンブランドの再興と発展に努めています。
マリー・アントワネットは侍女をウビガンの店に行かせ、彼の最新作の香水を手に入れるほど、新しい香りに対する探究心が旺盛でした。この二人の調香師との関係は、現代の香水文化の基礎を築いた重要な協力関係だったと言えるでしょう。
プチ・トリアノンで栽培された香料植物と王妃の自然愛
マリー・アントワネットがヴェルサイユでもっとも愛した場所が、プチ・トリアノンでした。ここは宮殿の庭園の一角に建てられた別荘で、ごく少数のお気に入りだけに出入りを許した王妃の秘密の楽園でした。
プチ・トリアノンには、農家風のこざっぱりした家、野原、菜園、小川に水車、小鳥のさえずりなど、今でいうエコで牧歌的な風情にあふれていました。これは自由と自然を愛して止まぬ王妃の理想郷そのものでした。
香水にするための花々を多く栽培させていたプチ・トリアノンでは、四季折々の様々な植物が育てられていました。特に有名なのが**「ローズ・ド・トリアノン（トリアノンのバラ）」**です。このバラは残念ながら香りはごく少ないものの、オールドローズならではの気品にあふれた美しいバラでした。
🌹 プチ・トリアノンで栽培されていた主な香料植物
| 植物名 | 季節 | 香りの特徴 | 使用部位 |
|---|---|---|---|
| バラ（多品種） | 春〜秋 | 甘く華やかな香り | 花びら |
| すみれ | 春 | 清楚で上品な香り | 花・葉 |
| ジャスミン | 夏 | 濃厚で甘美な香り | 花 |
| ラベンダー | 夏 | 清涼感のあるハーバル | 花・茎 |
| オレンジ | 通年 | 爽やかな柑橘香 | 花・果実・茎 |
オレンジは特別な意味を持っていました。情緒不安定なときの気付け薬として飲まれていたオレンジウォーターは、革命初期に不穏な知らせが届けば「私のオレンジウォーターを！」と女官に運ばせたというエピソードが伝えられています。
トリアノン宮の庭に植えられていたオレンジは、実をフルーツとして、花や茎を蒸留してエッセンシャルオイルとオレンジウォーターに、余すところなく使われていました。オレンジや菊など、当時のフランスでは珍しい植物が夜中に誰かに盗まれやしないかと心配していたという微笑ましい話まで残っています。
マリー・アントワネットはプチ・トリアノンに咲く四季折々の全ての花を閉じ込めた「ブーケ・フローラル」の香気をそのまま瓶に詰めて身につけたいと望んでいました。これは現代でいうところの「ガーデンフレグランス」の先駆けとも言える発想でした。
現代科学でも再現不可能な「Rose of May」の幻の香り
マリー・アントワネットの時代から現代に至るまで、香水界で最も貴重で神秘的な香料として語り継がれているのが「Rose of May（五月のバラ）」です。これは南仏の香水の街・グラースなどにて5月にだけ収穫されるバラのことで、極めて入手困難な幻の香りと言われています。
この香りの特徴は、芳醇でボリューム感があり、かつ甘くて官能的と称されており、世界中で愛されています。最も驚くべきことは、現代の科学でも絶対に再現できない香りとして、今なお注目を集めていることです。
🌹 Rose of Mayの特徴と希少性
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 収穫期間 | 5月のみ（年間わずか1ヶ月） |
| 収穫地域 | 南仏グラース周辺 |
| 香りの特徴 | 芳醇、ボリューム感、甘美、官能的 |
| 再現可能性 | 現代科学でも不可能 |
| 希少価値 | 極めて高価（金より高価とも） |
現代のフレグランスメゾン「Fragonard」では、この希少なRose of Mayが使用されている香水を製造しています。マリー・アントワネットが愛していた香水「ローズラベンダー」にも、当然このRose of Mayが使用されており、香りはとても優しく、芳醇で心が安らかになるような香調だと評価されています。
Rose of Mayを実際に嗅いだ人の感想によると、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」というフレーズから連想される意地悪で高飛車なマリー・アントワネットのイメージが払拭され、本当に自然を愛していた優しく可愛らしい人なのかもしれないと思わされるほど、魅力的な香りだということです。
現代の香水技術が発達した今でも、なぜRose of Mayを完全に再現できないのでしょうか。おそらく、特定の気候条件、土壌、そして5月という限られた時期の自然環境が複雑に組み合わさって生み出される香りの成分が、人工的には作り出せないからだと推測されます。
この幻の香りは、マリー・アントワネットの時代から現代まで、真の高級香水の象徴として位置づけられており、Rose of Mayを使用した香水は必然的に高価格になってしまいますが、その価値は香りを体験した人にしか理解できない特別なものなのです。
現代に蘇るマリー・アントワネットの香水と購入方法
- 復刻された王妃の香水「ケルク フルール」シリーズの特徴と価格
- Houbigant（ウビガン）の現代版香水ラインナップと日本での購入方法
- マリー・アントワネット関連香水が買える店舗とオンラインショップ
- 香水が招いた悲劇：ヴァレンヌ逃亡事件の真相
- 王妃の香りが現代香水業界に与えた革命的影響
- 現代女性におすすめのマリー・アントワネット系香水5選
- まとめ：マリー・アントワネットの香水から学ぶ香りの歴史
復刻された王妃の香水「ケルク フルール」シリーズの特徴と価格
現代に蘇ったマリー・アントワネットの香水として最も有名なのが、Houbigant（ウビガン）の「ケルク フルール」シリーズです。このシリーズは、1912年に発表された世界初のマルチフローラルブーケ香水として香水史に名を刻んでいます。
「ケルク フルール ロリジナル」は、1本の香水のために15,000以上の花と250の原材料が選りすぐられて捧げられたという、まさに王妃にふさわしい贅沢な香水です。これ以降のすべてのフローラル系香水の始祖であり、比類なき基準とされています。
💎 ケルク フルール シリーズ価格表
| 商品名 | 容量 | 価格（税込） | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ケルク フルール ロリジナル | 100ml | 34,100円 | 世界初のマルチフローラルブーケ |
| ケルク フルール ロワイアル | 100ml | 34,100円 | 真の王室のための香り |
| ケルク フルール ジャルダン セクレ | 100ml | 34,100円 | 秘密の庭園をモダンに表現 |
| エッセンス レア | 100ml | 34,100円 | ジャン=クロード・エレナ作 |
| フジェール ロワイヤル | 100ml | 26,400円 | 世界初の合成香料使用香水 |
**「ケルク フルール ロワイアル」**は、1829年にフランスのクレマンティーヌ・ドルレアン王女のために作られたオリジナル処方を基にしており、ラグジュアリーなオリエンタルアコードによるフローラルの爆発と表現される華やかな香りです。
特に注目すべきは**「エッセンス レア」で、これは1928年にオリジナル発表された後、1973年に若き日のレジェンド調香師ジャン=クロード・エレナが再構成**して発売した香水です。一度廃盤になっていましたが、約50年経った後にウビガンを運営するペリスグループにエレナ氏自らが企画を持ちかけ、自身で再びアップデートさせた貴重な香りです。
これらの香水は、素材の美しさがまばゆいばかりのソフトフローラルで、クラシックなフレンチスタイルを踏襲しながらも、より現代的でクリアな香調に仕上げられています。まさに時代を超えた香水として、現代の女性にも愛され続けています。
Houbigant（ウビガン）の現代版香水ラインナップと日本での購入方法
2022年3月17日から、世界最古のフレグランスブランド「Houbigant（ウビガン）」が日本に再上陸しました。これは香水愛好家にとって非常に喜ばしいニュースで、マリー・アントワネットが愛した香りを日本でも体験できるようになったのです。
現在日本で購入できるウビガンの香水は全7種類で、オードパルファムとエキストレドパルファムの2つの濃度から選べます。価格は26,400円から34,100円という高級価格帯ですが、250年以上の歴史を持つブランドの品質を考えれば、むしろリーズナブルと言えるかもしれません。
🛍️ 日本でのウビガン香水購入方法
| 購入方法 | 店舗・サイト名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 実店舗 | NOSE SHOP 丸の内 | 実際に香りを試せる |
| オンライン | NOSE SHOP公式サイト | 全国配送対応 |
| 大手通販 | 楽天市場・Amazon | ポイント還元あり |
| 百貨店 | 一部高級百貨店 | 専門スタッフの説明付き |
NOSE SHOPは、世界中の新進気鋭のフレグランスブランドを一同に集めた香水の専門店で、日本国内唯一のニッチフレグランスのセレクトショップとして2017年8月にスタートしました。大きな鼻のオブジェを目印に、現在は国内に7店舗を展開しています。
特に**「モン ブドワール」**は、ロベール・ビエナーメによって調香され1919年に発売された香りで、100周年を記念して復刻された特別な香水です。紛れもない女性らしさとエレガンスの象徴として、固定観念から放たれ、成功の意味を再定義する現代の女性たちのために作られています。
**「ラ ベルセゾン」**は、セリーヌ・エレナ（ジャン=クロード・エレナの娘）が手がけた香水で、春の訪れが羽毛のシャワーのように軽やかに包み込むような香りが特徴です。ルネッサンス期の絵画のような華やかな色合いで、美しい明日を約束するような希望に満ちた香調となっています。
マリー・アントワネット関連香水が買える店舗とオンラインショップ
マリー・アントワネット関連の香水は、現在様々な方法で購入することができます。特に楽天市場では豊富な選択肢があり、プチプラからハイブランドまで幅広く取り扱われています。
🏪 マリー・アントワネット関連香水販売店舗情報
| 店舗タイプ | 店舗名 | 取扱商品例 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| 専門店 | NOSE SHOP各店舗 | ウビガン全シリーズ | 26,400円〜 |
| 百貨店 | 高級百貨店香水売場 | メゾンフランシスクルジャン等 | 20,000円〜 |
| セレクトショップ | 香水専門店 | 各種関連香水 | 5,000円〜 |
| オンライン | 楽天市場・Amazon | 幅広いセレクション | 1,000円〜 |
特に人気が高いのが**「メゾン フランシス クルジャン ア ラ ローズ」です。この香水は、「薔薇を持つマリー・アントワネット王妃」の肖像画をモチーフ**に製作されたもので、現代的なアレンジが施されています。
価格は70mlで42,100円と高価ですが、2種類のバラが華々しい印象を最後まで残し、バラが香り出す瞬間にはマグノリアに混ざって遠くで甘みのあるスミレを感じる、非常に上品で洗練された香りです。
プチプラ系では「メリー&ハリー」シリーズが人気で、**858円（送料別）**という手頃な価格でマリー・アントワネット系の香りを楽しむことができます。サボン&ムスクの香り、ホワイトフローラル、ブルーアンバーなど、複数の香調から選べるのが魅力です。
また、ageha（アゲハ）のコスメカラー「156 マリー・アントワネット」は、ネイル用のカラージェルですが、その名前からもマリー・アントワネットの美意識への憧れがうかがえる商品です。価格は1,045円程度で、ヴィンテージドレスシリーズの一環として販売されています。
香水が招いた悲劇：ヴァレンヌ逃亡事件の真相
マリー・アントワネットの香水愛が招いた最も悲劇的なエピソードが、1791年6月20日のヴァレンヌ逃亡事件です。この事件は、香水が歴史を変えた稀有な例として、現在でも語り継がれています。
フランス革命の嵐が吹き荒れる中、マリー・アントワネットは夫のルイ16世や子どもたちと革命の嵐が吹き荒れるパリを脱出しました。彼らは普段よりずっと質素な身なりをし、もし途中で身分を問われたら、ロシアのさる侯爵夫人と侍女と従僕の一家だと答えると決めていました。
疾走する馬車の手綱を握っていたのは、スウェーデン貴族のハンス・フェルゼンで、マリー・アントワネットの愛人という噂のある人物でした。通過するいくつかの町では、その偽装で何とか乗り切ることができました。
⚡ ヴァレンヌ逃亡事件の経緯
| 日時 | 出来事 | 詳細 |
|---|---|---|
| 1791年6月20日深夜 | パリ脱出開始 | 質素な服装で変装 |
| 6月21日 | 各町を通過 | 偽装身分で検問を突破 |
| 6月22日 | ヴァレンヌで身柄拘束 | 香水により身分発覚 |
| 6月25日 | パリ帰還 | チュイルリー宮殿へ連行 |
しかし、脱出から2日後の6月22日、故郷オーストリアまであとわずかに迫った国境の町ヴァレンヌで、王家は正体を知られ、革命軍に捕らえられてしまいます。
身分発覚のきっかけとなったのは、マリー・アントワネットのつけていた香水でした。それはエレガントで芳しい芳香を放っており、当時の一般人にはとても手が出せない高級品だったため、王室の者だという身元が判明してしまったのです。
さらに、衣装ケースにはプチ・トリアノン香水やウビガンの香水が入っており、これらは侍女や従僕といった使用人階級には絶対に手が出せない超高級品でした。香りそのものが、彼女の身分の高さを物語ってしまったのです。
こうしてパリからの逃亡は失敗に終わり、2年後の1793年10月16日、マリー・アントワネットはパリのコンコルド広場で断頭台の露と消えます。そして、処刑されるその時まで、ウビガンの3本の小瓶を胴衣に忍ばせていたというのです。
王妃の香りが現代香水業界に与えた革命的影響
マリー・アントワネットが香水業界に与えた影響は、現代まで続く香水文化の基礎を築いたと言っても過言ではありません。彼女の革新的な香りへのアプローチは、その後の香水史を大きく変える転換点となりました。
まず最も重要なのは、**「悪臭を隠すためではなく、純粋に香りを楽しむ」**という現代的な香水の使い方を確立したことです。これは現在の私たちが当たり前だと思っている香水の楽しみ方そのものです。
🌟 マリー・アントワネットが確立した現代香水文化の基礎
| 革新的要素 | 従来の考え方 | マリー・アントワネットの貢献 |
|---|---|---|
| 使用目的 | 悪臭を隠すため | 純粋に香りを楽しむため |
| 香料選択 | 重い動物性香料 | 軽やかな植物性香料 |
| 香調構成 | 単一香料中心 | 複数花材のブーケフローラル |
| 使用方法 | 一律の使用法 | シーンに応じた使い分け |
| 衛生観念 | 入浴を避ける | 清潔な身体に香水 |
1882年にウビガンが発売した「フジェール ロワイヤル」は、世界で初めて香水に合成香料を用いた革新的な作品でした。これは製造面での革命と創造面での革命の2つを同時に成し遂げ、香水のクリエイションに爆発的な表現の幅をもたらしました。
本来香りのしないシダという植物を、高貴さという概念とともに抽象的かつシンボリックに香りで表現するという発想は、マリー・アントワネットの「自然の香りを愛する」という思想が基盤となっていると考えられます。
また、**1912年に発売された「ケルク フルール」**は、ダイアナ妃が結婚式でまとった香りとしても有名で、世界で初めてのマルチフローラルブーケ香水として香水史に刻まれています。これはマリー・アントワネットの「ブーケ・フローラル」という発想の直系と言えるでしょう。
現代の香水ブランドでも、マリー・アントワネットの影響は色濃く残っています。**エリザベス・ドゥ・フェドーさんの香りブランド「ARTY FRAGRANCE」**では、古書をひも解き、マリー・アントワネットが愛した香りを現代に蘇らせた「Le Rêve de la Reine（レーヴ・ド・ラ・レーヌ）」を製作しています。
現代女性におすすめのマリー・アントワネット系香水5選
現代の女性がマリー・アントワネットのエレガンスを体現できる香水を、価格帯別に5つ厳選してご紹介します。どの香水も王妃の美意識と自然への愛を現代的に表現した傑作です。
💐 価格帯別マリー・アントワネット系おすすめ香水
| 価格帯 | 商品名 | ブランド | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 超高級 | ケルク フルール ロリジナル | Houbigant | 34,100円 | 世界初のマルチフローラル |
| 高級 | ア ラ ローズ | メゾン フランシス クルジャン | 42,100円 | 王妃の肖像画がモチーフ |
| 中級 | オーデ カルティエ | カルティエ | 15,000円前後 | ユニセックスで上品 |
| プチプラ | ホワイトフローラル | メリー&ハリー | 858円 | 手軽に楽しめる |
| 和風テイスト | すみれ | 武蔵野ワークス | 8,000円前後 | 和のエッセンス入り |
**「ケルク フルール ロリジナル」**は、まさにマリー・アントワネットが愛したオリジナルの香りを現代に復刻した逸品です。15,000以上の花と250の原材料が使用されており、一度嗅ぐと忘れられない贅沢な香りです。トップノートのベルガモットとガルバナムから始まり、ミドルではジャスミン、チュベローズ、スズラン、バイオレット、ローズが華やかに香ります。
**「ア ラ ローズ」**は、マリー・アントワネットの肖像画をモチーフにした現代的な解釈の香水です。ベルガモット、レモン、オレンジの爽やかなトップから始まり、2種類のバラとスミレ、マグノリアが織りなす上品なフローラルブーケが特徴です。
**「オーデ カルティエ」**は、比較的手に入れやすい価格でありながら、ユズとベルガモットの爽やかさから始まり、バイオレットリーフとフラワー、ラベンダーのミドルノートが楽しめる、ユニセックスな香りです。
プチプラ系の**「ホワイトフローラル」**は、気軽にマリー・アントワネット系の香りを楽しみたい方におすすめです。858円という価格でありながら、しっかりとしたフローラルノートを楽しむことができます。
日本独自の**「すみれ」**は、マリー・アントワネットが愛したスミレの香りを和風にアレンジした珍しい香水です。**白檀（サンダルウッド）**が落ち着いた和の香りを演出し、着物にも似合う上品な仕上がりです。
まとめ：マリー・アントワネットの香水から学ぶ香りの歴史
最後に記事のポイントをまとめます。
- マリー・アントワネットは世界最古の香水ブランド「Houbigant（ウビガン）」の香水を愛用していた
- 18世紀の宮廷では悪臭隠しが目的だったが、王妃は純粋に香りを楽しむという革命的な使い方をした
- プチ・トリアノンで香料植物を栽培し、ブーケ・フローラルという香調を確立した
- 専属調香師ファージョンとウビガンが王室御用達の香水を製作していた
- 1791年のヴァレンヌ逃亡事件では、高級香水が身分発覚の原因となった
- 処刑される直前まで、ウビガンの香水3本を胴衣に忍ばせていた
- 現代科学でも再現不可能な「Rose of May」が最高級香料として知られている
- 2022年にウビガンブランドが日本に再上陸し、復刻版香水が購入可能になった
- 現代の香水文化の基礎となる「フローラルブーケ」や「合成香料の使用」の先駆けとなった
- マリー・アントワネットの美意識は現代の香水業界にも大きな影響を与え続けている
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://noseshop.jp/blogs/blog/houbigant
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000024774.html
- https://www.elle.com/jp/beauty/g212388/bpi-1508paris-elisabeth-de-feydeau-15-0916/
- https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC+%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88/100939/
- https://nicotto-kaori.com/blog/2567/
- https://note.com/shinobukishida/n/nbc3eeeea828f
- https://phaeton-fragrance.com/blogs/column/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A8%E9%A6%99%E6%B0%B4%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E
- https://gardenstory.jp/lifestyle/12988
- https://coloria.jp/magazine/articles/MoPhN
- https://www.womenshealthmag.com/jp/beauty/g38546414/royal-perfumes-20220116/
